2016年末頃からフィリピンに中国人が増えてきており、その増加傾向は続いているとお知らせしておりましたが、数字としても不動産市場に対する好影響が把握できるようになりつつあります。
本記事でも示している通り、主にPOGO(Philippine Offshore Gaming Operators)と呼ばれるオンラインカジノ業のオフィスをフィリピンにて営業するために多くの企業が進出してきたことが挙げられます。
そのPOGOの許可証は、2016年の35から現時点で56に増え、関連企業の許可も増えていると述べています。
マカティにおけるPOGO業界の占めるオフィスの面積は、100万㎡(302,500坪)と2016年末比で12倍となっています。
(2017年末時点での丸の内・大手町のオフィス賃貸面積が約627,000坪ですので、その半分くらいです。)
そのおかげでオフィス市場はとても助かった、というのは、もし来なければオフィスの空室率は二桁に増加していただろうとコリアーズの担当者は述べています。
一般的には、空室率が5%を上回ると借手市場になりますので、賃料は下がる傾向が強いです。しかしPOGOのおかけで、貸手市場となっています。
事実、POGOが集積する湾岸地域は、過去2年で1.5倍に増加して1,500ペソ/㎡に達しているとも述べています。
住宅市場に目を向けてみると、その従業員は主に中国人となりますので、その社員も大量に移民してきています。
外国人に対する労働許可証の数で比べると
中国:109,222
日本:4,477
アメリカ:622
です。中国の人口が日本の10倍としても、それでも比率として2倍以上移民がいることになります。しかもこれは適法に許可証を取得している数ですので、実際の移民の数は2倍、3倍増えている事でしょう。
その賃貸需要から、賃料も2倍になったり、中国企業による住戸の大量購入(従業員に賃貸)により売買価格も増加しています。
新築コンドミニアムの外国人枠(全体の40%)の50%が中国企業・中国人であるという驚きの事実もコリアーズは述べています。
これ程までに中国資本によりフィリピン不動産市場が支えているとは想像以上でした。
そこで考えるのは、その動きが反転した時ですよね?
現在でもフィリピン人の中国に対しては、建設業で仕事を奪われて失業率が高まっているという反感は以前からあり、昨今起きたフィリピン漁船が中国船に衝突&沈没させられた事件により国民の反中国感情が高まっており、中国大使館前でデモも起きています。またドゥテルテ大統領の中国はFriendだから許すという政治スタンスも叩かれています。
ドゥテルテ大統領が就任し、中国に対して寛容な態度を示したことからこのPOGO業がフィリピンに進出してきたという元々の流れがありますので、政治動向については常に注視すべきかと思います。
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仲田 一成 (なかた かずなり)