先日、フィリピンの2019年第3四半期(7月~9月)のGDP成長率が発表されました。
数値としては、6.2%
と政府目標である年間6.0%~7.0%の成長率にこの期間は達しています。が、第1四半期が5.6%、第2四半期が5.5%であったことから、当該目標に達するためには、第4四半期で最低でも6.7%の成長が必要となりますので、ハードルは高いと思いますが頑張ってもらいたいです。
GDP成長率の構成割合を見てみますと、家計支出は非常に好調であることが分かります。前年同期である2018年は高いインフレ率により個人消費が伸び悩んでいましたが、現在そのインフレ率は鳴りを潜め10月時点で0.8%と6.7%であった昨年比で5.9%下がっています。
従って、フィリピン中央銀行はそのインフレの猛威に対抗するため昨年金利を上げて来ましたが、今年に入り利下げ余地が高まったことから合計0.75%下げ、現在4.0%となっています。
今後も低いインフレ率が続くのであれば、更なる利下げとなるので銀行からの借入金利が低くなりことから、不動産に関してはポジティブな影響が大きくなります。
一方で、輸出&輸入の貢献度がそれぞれマイナス、ゼロであることから分かる通り、アメリカと中国との貿易戦争により影響を受けているの明らかです。フィリピンの場合、内需がGDP成長の70%程度を占めているので、貿易が占める割合は低いですがそれでも貿易戦争の影が見えています。
その貿易戦争の影響とフィリピンでの輸出型外資企業への税制優遇策の行方が明確となっていない事もあり、フィリピンへの外資からの投資は減っている事実があります。
1月時点から8月まででの前年比で約40%少ない事を下のグラフで示しています(Business world参照)。
フィリピンの経済成長が減速していると捉えることも出来ますが、諸外国との比較においては大いに善戦しているのではないかと思います。
なお、ベトナムは貿易戦争の回避地として中国の世界の工場の地位を奪いつつあるのか、2018年と同程度の成長を記録しているようです。
アメリカと中国との貿易戦争が終焉を迎えつつあるという話もある中で、インフレ率が低位推移すれば政策金利の低下を通じてフィリピンの経済成長率が改善されるのではないかと考えています。
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代表取締役 仲田 一成 (なかた かずなり)