フィリピンでコンドミニアム・アパートを借りる場合、 1年毎の定期借家契約が主流 であり、再契約する場合インフレ相当額の賃料増加の規定が記載されていることが多いので、家主も家賃が上がることの心づもりがあります。
またオーナーの権利が強く、賃貸借期間中においても物件売却の為の内見を依頼されると、借主は部屋を開けなければなりません。
日本の場合は、普通賃貸借契約が普通であり期間満了時においては契約が自動更新されたり、退去を求める場合は正当事由を要するなど借手の権利が(借地借家法で)守られていますので、フィリピンとの貸主⇔借主の権利保護に関する違いがとても大きく感じます。
さて、今回は賃貸借契約を再契約する場合、家賃を2倍にまで上げてよいかという面白い記事がありました(なお、この新聞コラムの法律相談は読者の注目を上げるために、実際の話ではなく架空の設定であることが多いです。)ので、載せさせてもらいました。
記事の内容としては、現在10,000ペソの家賃で借りているアパートを2倍の20,000ペソに家賃を上げるとオーナーから言われ、そんなことは認められるかという(架空)相談となっています。
回答として、Republic Act No. 9653にて家賃水準毎に値上げ率が決められており、
①月額₱4,999以下:年率2.0%以下の増加
② 月額₱8,999以下:年率7.0%以下の増加
③月額₱9,000以上₱10,000以下:年率11.0%以下の増加
と規定されており、上記上限は同一賃借人の場合適用されるとされています。
なので、賃借人が変われば、フィリピンの場合再契約を拒めば、賃貸人の希望する家賃を設定することが可能と言う事も可能でしょう。
以上の事から、この法律は収入の低い人を保護するために制定されたものであると思料されます。従って、高額賃貸については法律で11%の上昇率を認めています。
しかし改めて法律が定める家賃水準を見ると、₱10,000/月以上の物件についてはこの法律の適用が無いように見えます。 Republic Act No. 9653 をインターネット検索で調べ条文を見ても、 ₱10,000/月以上 の場合の規定はありませんでした。
という事は、現家賃が ₱10,001/月だった場合、更新時に ₱20,000/月に上げることは法律違反とはならないと解釈することが可能な気がします。
この点について、コラム回答者であるPAO氏に質問を投げましたので、回答があり次第アップデートさせて頂きます。
仲田リアルエステート株式会社
Mail:nakata.re@philipinvest.com
代表取締役 仲田 一成 (なかた かずなり)