2022年4月現在のフィリピンは、新聞においてもコロナ禍はほぼ終了した、コロナ禍前へ戻りつつあるという報道が増えてきています。
長期間に渡りロックダウンの行われたフィリピンは、2020年のGDPは▲9.5%の大幅な景気後退を記録しました。2021年は、ロックダウンの解除により+5.6%とコロナ禍前の経済成長率に戻りつつあることが確認出来ました。
では、「コンドミニアムの価格はどう推移したのか」について、統計データで確認したいと思います。
①RESIDENTIAL REAL ESTATE PRICE INDEX
フィリピン中央銀行が発表している数値で、不動産のタイプ(コンドミニアム・戸建等)別と地域別に数値(Q1 2014 = 100)を出しています。
大まかな区切りであり、数値の変動幅が非常に大きいことから、大まかな傾向を把握する程度は可能であると考えています。
上の図は、マニラ首都圏におけるコンドミニアムの年間推移指数です。
年ベースの場合、20年の180から21年の174へと変化(▲3.3%)なので、ほとんど変化しなかったと捉えることが出来ます。
続いては四半期毎の数値を確認します。
コロナ禍前のロックダウン・経済活動抑制により、指数が大きく反応たことが分かります。
2020年Q2からQ3の下落率は▲27%と大幅な下落となっています。
その後は、徐々に回復傾向にあるものの、2021年Q4現在は2020年Q2と比較して▲17%です。
以上総括すると、当初数週間程度で終わると考えられたコロナ禍のロックダウン等が延長され、経済的影響が予想以上に大きくなることが次第に分かり、株価同様急激な価格下落が発生(不動産は株価より6カ月程度遅れる)したものと思料します。
その後、世界的な金融緩和・ロックダウン解除等により価格は戻し始め、結果現時点では大きな価格下落は(マクロ的には)過去のものと認識されていると考えます。
②Prime International Residential Index(PIRI 100)
イギリスの総合不動産会社であるナイトフランク社から高級コンドミニアムの年間価格変動率が発表されています。
対象物件は高級物件に限られますので、また違った傾向が出てくるのではないかと思います。
マニラの価格推移率を見ますと、
2017年:増減なし
2018年:+11%
2019年:+6.5%
2020年:+19.4%
2021年:▲1.5%
と、①のRESIDENTIAL REAL ESTATE PRICE INDEXの年間推移指数と同傾向であることが分かります。
同資料では、四半期ごとのデータがありませんが、恐らく高級コンドミニアムについても大きな価格変動があったのではないかと推測しますが、現時点では大きな価格下落は(マクロ的には)過去のものという結論は同じとなっています。
その他アジアの都市については、増加が見られないないしは下落していることがうかがえます。バンコクはコロナ前より価格が調整局面であったという記憶がありますので、2017年以前より価格上昇が続いていた反動なのかもしれません。
なお、東京は皆様が肌で感じている通り2017年以降増加傾向が続いています。日本の場合は、株高&金融緩和による影響が大きいと感じています。
参考までに、マンション価格高騰により社会問題となっているソウルは異常な増加率を記録しています。
都市 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 |
ソウル | 15.6% | 15.2% | 7.6% | 11.7% | 21.0% |
総括
以上2つのデータを見ましたが、コロナ禍による価格下落は過去のものとなりつつあるというのが実情であると感じます。
なお、ミクロ的には本パンデミックを経験し不動産を売却したいという売り急ぎの案件もまだ残っているのも事実ですので、そのような案件を取り込んでいくと将来の価格上昇の恩恵を感じられるのではと思います。
一方で、昨今の円安(現時点1₱=2.44円)傾向が続き、2015年につけた2.7円程度まで下がるのか、或いは円高に戻すのかという為替動向は「神のみぞ知る」という領域なので、私からはコメントできません。
今後については、フィリピンの経済成長に合わせて不動産価格の回復傾向が続くのではないかと思いますが、一方で賃貸市場の空室率改善・賃料回復に至るまでには多くの時間を要することと考えられるため、価格が早急に戻す可能性は低いのではないかとも感じています。
仲田リアルエステート株式会社
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フィリピンの不動産にまつわる情報を中心に発信していければと思います。