Colliers(コリアーズ)より、2024年第1四半期(1月~3月)のレポートが発表されましたので、そのうちの住宅に関する内容について共有させて頂きます。
なお、5月9日にフィリピンGDPの第1四半期成長率が+5.7%であったと発表されました。同数字は、前年同期の+6.4%には及ばないものの、前四半期の+5.5%より良い数字ですが、政府の目標である年率6~7%には届いていません。
家計による最終消費が+4.6%と2010年以来の低い伸び率となっており、その背景として物価高(4月インフレ率+3.8%)と熱波による外出の控え、高い政策金利:6.5%が挙げられています。
インフレ率が前年4月の6.6%と比べ落ち着いてきており、また中央銀行予測:+3.5%~+4.3%以内に収まっていることから、近い将来においては政策金利の削減が見込めるかもしれません。
以上のフィリピンの経済状況を背景をもとに、コリアーズの住宅市況を見ていきます(出典:Colliers)。
供給数:2,180戸に対して需要は1,600戸ですので、差し引き580戸が空室として市場に残されたことを意味します。2024年全体を通しての予測も供給過多と見ているようです。
2024年以降4年間平均は、需給が均衡するのではないかとの見通しです。
過去の需給については、おおむね均衡していたことがわかります。2021年についてはコロナによるロックダウンにより経済活動が行われていなかったことに伴うものと考えられます。
市場の供給>需要により、空室率は上昇しており、結果賃料の上昇はほぼ見込めない見通しとなっています。
各地域別の空室率の記載が無いので不明ではありますが、①Bay Areaにおいて大規模コンドミニアム開発が続いており、2024年末のBay Areaの空室率は28%の過去最大に至るものとのことですので、現状においても25%程度の空室率でありそれがMetro Manila全体の空室率の高止まりとなっているのではないかと思料します。
価格については、賃料の増加率よりは高い伸びを予測しており、今後4年においてもインフレ率程度の価格上昇が続くものと見込まれています。
しかしながら、2028年時点でもコロナ前に記録していた25万ペソ/㎡には届かないことを考えますと、その回復は緩やかと言わざるを得ません。
一方で、プレビルド案件の販売単価はBGCで45万ペソ/㎡、野村不動産とフェデラルファンドのJVで開発しているマンダルーヨンの「The Observatory」は約30万ペソ/㎡で販売しているなど、中古市場との乖離が大きくなってきている気がします。
以上の通り、国の経済成長等に伴いコンドミニアムの価格&賃料は将来的に上昇が期待できるものとは思いますが、短期的なキャピタルゲインを狙う投資ではなく、長期的な目線で考える人向けにシフトしていることを示唆するレポートであると考えられます。
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