(過去記事_2015/8)日本の高級マンションは安い?フィリピンは?

今週号の日経ヴェリタスが
「不動産 過熱の先」 群がる緩和マネー 個人も踊る
という興味深いタイトルがついていましたので、思わず買ってしまいました(550円てちょっと高いですよね)。

話題の中心は都心のマンションの値段です。
東京でマンション購入を検討している方、検討されていた方は100も承知だとは思いますが、実際の統計情報上でもその高さが際立ってきました。
1つめは不動産経済研究所発表による2015年1月~6月期の東京都区部の新築マンション平均価格は6,231万円(305万円/坪) (*前年同期比で5.9%の上昇)を記録し、前回のミニバブルであった2007年の6,120万円を超えています。
2つめは東京カンテイ発表による2014年度の年収倍率(70㎡換算のマンション価格/都道府県平均年収)について、東京都が10.61倍をつけています。この数字は2000年以降で最大となっており、都内のマンションは一般サラリーマンが買える水準を上回っています。

また東京カンテイ調査によるアベノミクス前(2012年7~9月平均)と今年の4~6月平均による坪単価およびその上昇率が載っていたのですが、私の住む豊島区が43%上昇の坪387万円となっていました。70㎡で計算すると、8,200万円です!!低金利(0.675%、35年)前提で住宅ローンを組んだとしても22万円/月です。ちょっと前の感覚ですと、池袋は250万円/坪だったかと思います。

さて、このように高騰してしまい一般サラリーマンが買えなくなってしまったマンションは誰が買っているのかというのが問題となってくるかと思います。そうです、皆さんのご認識の通り①外国人(東京の場合はほぼアジア人)、②相続対策の富裕層が買っているのです。
①②ともに実需(実際に自分が住むため)ではない需要層による購入で価格が高騰しているのです。

事実、先ほどの不動産経済研究所は戸建住宅の価格推移も発表しているのですが、実需が主体である東京の戸建住宅価格は2013年からほとんど価格の増減はありません(2013年:5,832万円、2015年:5,861万円)。
これは驚きの事実かと思います。如何にマンション価格が実需に基づかず上がっていることの証左でもあります。

その実需に基づかいない購入層は同一事象による経済状態の変化により売却することを決断しますので、同時に大量にマンションが中古市場に供給されることを意味しますので、大量の在庫を抱えきれず価格は暴落することが容易に予想されます。
従いまして、現在高騰しているマンション価格も中長期的には実需に基づいた価格に収れんしていくのではないかと考えています。

一方で東京の高級マンション価格は世界の大都市と比較しても安いという情報もあります。日本不動産研究所の調査によると、東京の元麻布のマンション単価(600万円/坪くらい?)を100とすると、シンガポール:144、上海:151、台北:165、香港:234と軒並み高い数字となっています。
アジア各国が豊かになり、更なる富裕層が増えることで国際都市「Tokyo」に不動産を持ちたいという需要が実需を上回ってくれば、一部の都心のマンション価格は実需に基づかない価格を前提とした価格付けになってくる可能性もあるのかなぁとも思います。

さて、上記レポートにはフィリピンの指数が含まれていないので私見を申しますと、現在のフィリピンの高級マンションの平均単価は200,000ペソ/㎡だと考えていますので、180万円/坪くらいでしょうか。180万円/600万円だと「30」と求められます。クアラルンプール:35.7、バンコク:27.8、ジャカルタ:24.9との比較でも妥当でしょうか。

最後にフィリピンのマンション価格は投資層・実需どちらに基づいた価格かと考えたのですが、感覚としては明らかに投資層なのですが、フィリピンの法律において外国人は1棟マンションの過半以上の持分を持てないこととなっていますので、半分がフィリピン人が保有していることとなります。フィリピン人でも投資用で買われている人はある程度いるかと思いますが、海外で働いている優秀なフィリピン人が親にマンションを買い与え親が住んでいるということをよく聞くことからも、実需も相当あるのではないかと考えています。

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