先週土曜日、恵比寿にあるWestin Hotelで開かれましたThe Residence at the Westin Manila Sonata Placeに参加しました。このHPをご覧になっている方の中でも参加されている方もいらっしゃるのではないかと思います。
参加して思った・感じた本物件の魅力・価格感等を記載したいと思います。
まずはWestin(ウェステイン)という名前はご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、Starwood(スターウッド)グループという世界的なホテルチェーンの1つに属します。よく知れ渡っているシェラトンもこのグループに属し、ウェステインはシェラトンよりも上位の高級ホテルに位置付けられています。Wiki_スターウッド
なお、このウェステインホテル東京は、もともとサッポロビールが開発したものを2004年にモルガンスタンレーが取得(500億円、114百万円/室)し、リーマンショック前の2008年2月にシンガポール政府投資公社が770億円(176百万円/室)で取得し保有しています。やや広めの40㎡とはいえ、1室単価で1億円を超えています。なおこのウェステインとのホテルオペレーション契約は運営委託方式であると思います。
さて、話を本題に戻します。このプロジェクトは高級ホテルWestinと同一敷地内にホテル棟と隣接してコンドミニアムを建てるというものです。企画としては非常に面白そうなので、まずは立地を確認しましょう(フィリピンのパンフレットの地図はイメージ的で、すぐに場所の把握ができないのが難点です)。
最寄駅はショーブールバード駅、徒歩5分程度です。駅前にはシャングリラホテル、モール、SMモールが集積しています。またサンミゲルの本社もその横にあります。皆さんもストリートビューで歩き回ってみてください。
私は前回の5月のフィリピン訪問の際のホテルが隣にあるシャングリラでしたので、プールから見た本物件と同じ土地に既に建っている2棟のコンドミニアムのが写っていました。奥に見える2棟の住宅がそれです。見合い物件となっていそうです。
まずは広域的なとらえ方で、オルティガスという立地をどうとらえるか、ということを考える必要があります。今回の販売セミナーでも言っていましたが、マカティ・ボニファシオグローバルシティと比べて開発が遅れているので、コンドミニアムの価格は全般的に低く設定されています。
そのことは、私の過去記事のコリアーズのレポートで記載の通り、オルティガスの土地価格は他の2地域より安いです。なおコンドミニアム価格は比較表の中に含まれていません(マーケットが小さいからだと思われます)。
従って、ポジティブに考えるのであれば将来のアップサイドの見込みのある立地であると言えます。もちろん、開発の波に乗り切れず、思った以上に伸び悩む可能性もあります。
次にオルティガス地域の中で本物件の立地を見てみると、正直弱いと感じます。駅から近いほうにシャングリラホテル並びにそのコンドミニアムが建っています。シャングリラホテルは、やや築年の古さを感じさせますが、モールとの一体感もあり高級感を感じます。
また人気のSMモールも駅側にあるので、シャングリラのほうが立地優位性を感じます。
Westinホテル、コンドミニアムへの導線がどうなるのか確認は必要ですが、シャングリラホテルの裏手にあるホテルと言ったイメージになるのではないでしょうか。
次に物件概要です。
ディベロッパーは、本物件のあるオルティガスを本拠地とするRobinsonsの高級路線ブランドです。竣工は2021年と5年後とやや先に長い物件です。ホテルは2019年竣工です。最小の間取りが47.29㎡で9,330,000ペソ(197,000ペソ/㎡、約2,050万円、143万円/坪)です。
なおこちらの価格は正規価格で、実際は支払い条件による様々な割引が用意されていました。これはディベロッパーの力の違いということだと思いますが、AYALAよりも割引率の高さ、竣工時の支払い条件の柔軟性が非常にあります。
まずは一番割引率の高い一括決済する場合ですが、12%の割引となります。上記の2,050万円のユニットの例だと246万円引きの約1,800万円です。
年1回づつの合計5回に分けて支払う場合は7%の割引、頭金10%を払い残りは毎月払いと完成時に50%払いの場合は、1%の割引です。ほとんどの場合1%割引は受けられそうなので、正規価格が1%引きと考えたほうが良いでしょう。割引率は1%と低いですが、完成時までに50%のみでOKな毎月払いが最も資金効率が高いと思われます。また今後更なる円高となる可能性もあるので、支払時期を分けることで為替リスクも減らせるメリットもありそうです。
なお本物件の特徴としてウェステインの名前を冠している通り、ウェステインで使っているベッド、シャワー並びに冷蔵庫、キッチンコンロ、エアコン等も付属されています。一般的にホテルの家具・備品等の費用として80万円~150程度かかることを考えると、実質的には100万円程度オンされていると考えられます。
従って、他の物件と比較における価格としては、1,930万円(877万ペソ、185,000ペソ/㎡)、135万円/坪と考えるべきかと思います。
ではこの物件との比較すべきは、シャングリラのコンドミニアムです。2015年5月のブログで書きました通り、当該物件は26階の45㎡とほぼ同程度の広さの物件で6,948,000ペソ、154,400ペソ/㎡でした。2015年当時、竣工を間近に控えているにもかかわらず、一定数の売れ残りがありました。
Westinの本物件は、㎡単価で20%高い設定となっています。立地はシャングリラのほうが良いかと思いますので更に割高感を感じます。中古物件としてシャングリラコンドミニアムの売り情報もあると思うので、真剣に購入検討をされている方はWestin一択ではなく、競合物件も視野に入れて検討されたほうがよろしいかと思います。
さて、賃料利回りはといいますとセミナーでも言っていた900~1,000ペソ/㎡は妥当な水準かと思いますので、これで計算しますと、グロス6.1%程度となります。
なおこの物件はWestinと同一のベッドメーキング、ルームサービスを受けられるという特典があります。
そう、上記特典を活かせる民泊で貸し出せば6.1%よりも高い利回りを確保できると考え、セミナー主催会社へ問い合わせしたところ、Westinとの取り決めで民泊は不可との事でした。
非常に残念です。冷静に考えれば、Westinとしてもお客さんが安い民泊ルームに流れ、ゲストを失うとともにホテルを含めた安値合戦に発展することが容易に想像できるので、当然の縛りなのかもしれません。
私としては、オルティガスという立地、そのオルティガス内でも立地が優れないこと、利回り感、竣工が5年後となることを考えると、お勧めではないと考えています。