2019年第三四半期のコリアーズマーケットレポートを頂きましたので、主な内容について共有させて頂きます(レポートを頂きましたことを、この場を借りてコリアーズ様に感謝申し上げます)。
まず土地価格の情報です。
マカティで例に挙げますと、2001年に₱20万/㎡以下であったものが、来年2020年の予測だと₱100万/㎡(約711万円/坪)となると見ていますので、約20年で5倍になるという事です。
グラフを詳細に見ると、2013年頃まではなだらかに上昇していましたが、それ以降はグラフの傾きが強くなり上昇率が高くなっている事が分かります。
またベイエリアの価格は、2018年にオルティガスを抜いてその差を広げています。
次のチャートが現在の各都市の価格と来年の予想を示していますが、今後1年で20%!程度上昇をコリアーズは予測しています。
このチャートの真ん中にあるAccommodation Valueですが、いわゆる一種単価であるようです。
各地域の標準的な容積率(FAR)にて土地価格を除した数値を意味しており、例えばマカティであれば、容積率が1600%なので100㎡の土地であれば100㎡×16=1,600㎡まで建物面積を建てられますが、湾岸地域は600%なので600㎡までしか建物面積を設けられないので、その土地の有効性を反映した土地価格を言います。
この1種単価に基づくと、湾岸地域の価格はマカティの価格よりも既に割高という事を意味しています。湾岸地域の容積率が低く設定されており、高層建物を建てられない理由としては、おそらく飛行機の航路となっているからではないかと推測します。
というのは空港に近い福岡の都心部においては、この高さ制限により高層ビルが建てられない事からと同じように、航空法による高さ(容積率)制限が厳しいのと思います。
オフィス市場については、マカティ・BGC・湾岸・オルティガス、ケソン市等の主要都市を含めたオフィス床面積が現在約1,100万㎡(約333万坪)有るのですが、2019年度にはその10%に当たる10%の100万㎡(302,500坪)が供給されるのですが、特にPOGO(オンラインカジノ業)からの旺盛な賃貸需要により、
マカティ 空室率:1% 成約賃料:₱1,400/㎡~₱1,600/㎡
BGC 空室率:6% 成約賃料:₱950/㎡ ~₱1,500/㎡
湾岸 空室率:0.5% 成約賃料:₱800/㎡ ~₱1,450/㎡
と貸手市場となっています。
オフィスの床面積が増えれば、当然そこで働く人も増えるので住宅市場も堅調となっています。
価格についてはなだらかな上昇が続いており、₱300,000(約213万円/坪)が見えて来ました。
一方、賃料については辛うじてプラスと言った感じです。やはり空室率が10%程度あるので、オフィスと異なり借手市場ですので本格的な賃料上昇には空室率の改善が必要です。
なおコリアーズから新規オフィスの供給=労働者の増加=通勤者の増加により、更に悪化するであろう交通渋滞による金銭的・時間的・肉体的(例:バスに乗るまで30分、乗ってから座れず2時間立ちっぱなしという事は誇張ではなく現実です)、精神的損失を回避するためにも、都心部において寮等の一般的な労働者が住める住宅を建てるように催促しています。
例えばAyalaの寮(Flats)であれば、₱5,500/月(4人部屋の場合。実際はこれに水光熱費が加わる)で住めるので、交通費の出ないフィリピンにおいては、通勤代で概ね寮の費用を賄えてしまいます。
地下鉄が開通する2025年までは、抜本的な交通渋滞の改善が期待出来ないことから、ますます都心部に住居を構える人が増えていくのではないかと感じています。
仲田リアルエステート株式会社
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代表取締役 仲田 一成 (なかた かずなり)