メトロマニラ地域は、6月1日以降からより緩和された制限に移行となる可能性が高まってきました(今週政策発表予定)。
コロナウィルスの新規感染者数は、200人/日前後と横ばいですが1万人/日実施しているとの事ですので、検査数の増加に伴い感染者数が増加しているという事であれば致し方ないのかもしれません。
なお、死亡者数はここ最近1桁(昨日5人)となっているので、この数字はロックダウンの効果が出ているものと感じています。
累計感染者数:14,319人
累計死亡者数:873人
*5/25時点
ロックダウンの解除は上記のコロナウィルスの感染ストップよりも、財政的な背景により経済活動を再開せざるを得ない状況となっています。
現在の緩和されたロックダウンの状態だと、国民が仕事に就けないので政府は引き続き貧困層に給付金を支払わなければならない一方で、ロックダウンのための納税猶予措置を取っている事から国にお金が入って来なく、資金が枯渇しつつあります。
また1ペソでも多く資金確保をするためか、ジャンクフードへの課税も検討しているようです。表向きは、食生活の改善を図るため不健康な食事を遠ざけることとしているようですが、このタイミングですと、税収確保の意味合いが強いのだと思います。
確かに、フィリピン人は運動をしている人が少ないのと、野菜は高いので摂らず、安いチキンと米をファーストフードで食べている人が多く、肥満体の割合が多いように見受けられますので、個人的には大賛成です。
上記の通りロックダウンが続いる中で、本題のマニーパッキャオのマカティの大邸宅の売却価格がコロナの影響により、大幅に見直されたという記事がありました。
(パッキャオ家族は、その大邸宅の道路反対側のVillage(Dasmariñas)で賃貸しているとの事です。)
その価格ですが、
販売当初2月:20億ペソ(約42億60百万円)
見直し後5月:15億ペソ(約31億95百万円)
と▲25%の大幅な値下げを実施したようです。
以下邸宅の詳細です。
土地:1,525㎡(461坪)
建物:2,000㎡(605坪)
3階建
ベッドルーム数 : 5
浴室数 : 5
駐車場 : 10台
場所:Forbes Park North
フィリピン不動産会社のLEE CHIUから発表されているマーケット情報によると、このForbes Parkの地価は2018年時点で300,000ペソ/㎡(約211万円/坪)ですので、それから年率15%程度上昇していると試算した約400,000ペソ/㎡(約282万円/坪)で上記パッキャオの土地価格を計算すると、
400,000ペソ/㎡ × 1,525㎡=610百万ペソ
と、売却希望価格と乖離が大きいので、建物に関するプレミアムが高いのではないかと思料します。
なお、この15%という上昇率は、イギリスの不動産会社であるKnight Frankより2019年~2020年の1年間と2020年1月~3月の第一四半期における世界の高級住宅地の上昇率ランキングに参考にしています。
元資料からアジアを抽出して下記のグラフを作成しましたが、世界の46都市のうち上位5位のうち4つをアジアが占めています。
つまり、2年掛けて上昇した地価上昇がロックダウンの2ヶ月で帳消しにしたという事です。
これは特殊な例で、超高額価格帯での事例ですので一般化は出来ないでしょうが、当初1か月のロックダウンと見られていたものが2ヶ月となり、更にロックダウンが解除されればビジネスは元通りになると考えていたものが、レストランはTake outのみ・Hotelの50%稼働率上限設定、海外旅行者は年内見込めないなど、多くの経済的制限が暫く続くことを考えると、不動産価格の下落率は更に深くなるのではないかと感じてきてます。
(店内飲食不可のレストランについては、業界からの規制緩和の求めに応じて緩和策を検討しています。)
なお、不動産は長期的視点で検討すべきであるという事を改めて感じさせられる事を記載しておきます。
パッキャオはこの邸宅を2011年(9年前)に388百万ペソで購入したと記されています。
仮に現在の販売価格1,500百万ペソで売却できたとすると、3.9倍弱となります。
このForbes Parkは、1949年に土地の販売開始がされており、6ペソ/㎡が売り出し価格との事です。
現在の土地販売事例:5,000㎡、1,750百万ペソ:350,000ペソ/㎡で考えると、58,333倍となっています。
「ピンチはチャンス」という言葉があるように、コロナの影響により割安で購入できるチャンスを活かし長期的な目線で投資検討できる人が、不動産投資に向いているのではないかと思います。
仲田リアルエステート株式会社
Mail:nakata.re@philipinvest.com
仲田 一成 (なかた かずなり)