今回は、フィリピンの経済新聞であるBusiness Worldの記事からの内容です。
この新聞は1面にフィリピンの経済に関するデータをグラフ等で示したものをいつも載せており、今回はフィリピンに対するFDI(Foreign Direct Investment、外国からの(直接)投資)の規制・ルールをスコア付けして、規制が無い(Open)を「0」とし、すべて規制されているもの(Closed)を「1」とした場合におけるフィリピンの規制指数を示したグラフを載せていましたので、共有させて頂きます。
スコアはつまり、「0」に近ければ外資が自由に投資できるが、「1」に近づくと規制が厳しいことを意味します。
本HPをご覧になられている皆様の関心の高い不動産に関して、外国人は「土地」を取得出来ないことから規制が強いのではと思われているのではないかと推測しますが、例えば中国、東南アジア諸国と比べてどうなのという比較において参考になると思います。
今回挙がっている6項目について見ていきます。
1つ目の「Business Services」 :フィリピン:0.791 中国:0.225 日本:0
2つ目の「Telecommunications」:フィリピン:0.65 中国:0.75 日本:0.265
とフィリピンの規制が高いことが分かります。
「Telecommunications」について、携帯電話について言えば、現時点(1社参入予定)では「Globe」と「Smart」の2社の寡占状態であり、そのサービスの悪さ(突然の故障等で1日中使えないことも発生しています)にも関わらず、日本と同程度の月額料金が掛かるのはこの外資規制があるからとも言えるかもしれません。
3つ目の「Media」 :フィリピン:0.913 中国:0.985 日本:0.2
4つ目の「Electricity」:フィリピン:0.365 中国:0.085 日本:0.025
「Media」への外資規制は、中国レベルという事は驚きでした。
「Electricity」はその高い料金から推測される通り、規制が厳しく競争関係が働いていないことが証明される結果と言えると思います。マニラ首都圏では、マニラ電力会社(MERALCO)が独占しています。
5つ目の「Transport」 :フィリピン:0.655 中国:0.407 日本:0.275
6つ目の「Financial Services」:フィリピン:0.115 中国:0.268 日本:0
全ての項目を比較した指数は、
:フィリピン:0.374 中国:0.251 日本:0.052
と示されています。
外資規制が厳しいイメージがある中国より1.5倍厳しいということです。
繰り返しとなりますが、フィリピンでは外国人が土地を買えませんが、コンドミニアムは合法的に取得が可能であることから、ここ数年でコンドミニアムの価格上昇が土地の価格上昇と比べて著しいのは、まさに外資が入ってこれる環境にあるからであると感じています。
つまり、外資が入れるコンドミニアム価格は著しい上昇となるが、(原則)入れない土地は緩やかな上昇となる、という事です。
逆の見方をしますと、このような外資規制があるのに年率6%成長しているであるから、その規制がなくなる・緩和されれば、人口1億人を超える若い成長市場に参入したい外資による投資により、更なる経済成長となると容易に想像できます。
現職のドゥテルテ大統領は派閥出身では無い事もあるのか、外資規制を緩和する方向で政策を進めていますので、今後の政治動向についても注視していきたいと思います。
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仲田 一成 (なかた かずなり)