コリアーズ(Colliers)の四半期レポートについて、HPで公開されている情報が非常に簡素になってしまい皆様にフィリピン不動産市況をお伝え出来ないのではと困っていたところ、お会いさせて頂いたコリアーズの方より詳細レポートを受領しました。
レポートを頂いた事を改めてお礼申し上げます。
まずはボニファシオグローバルシティ、マカティ、湾岸地域、オルティガスの現在のコンドミニアム総供給数と2021年末までの予定供給数を確認したいと思います。
以前お伝えした時は2021年末時点において、マカティの方が僅差で湾岸地域よりも総供給が多い予測でしたが、湾岸地域は2020年に8,950戸、2021年度に3,440戸の供給となることから、BGCの次にコンドミニアム戸数が多い地域に躍り出る予想となっています。
ちなみにオリンピックの選手村として建設しているHarumi Flagの住宅供給数が5,632戸です。その大量供給により日本のマンション市場の値崩れが生じるのではないかと恐れられていますが、フィリピンの湾岸地域はそれを上回る戸数の供給が予定されていることを意味します。
(*Harumi Flagはその土地仕入れ値が1種8万円ないし11万円という安さから、販売価格坪200万円程度の激安お宝物件となることを期待していたのですが、ディベロッパーの暴利により坪300万円以上の販売となり、とても残念です。)
上記の供給数を見た後に、現在の空室率を確認したいと思います。
供給数の多い地域が空室率も高くなる傾向が見られますが、全体としては低下傾向にあるようです。
BGCは過去の5,000戸以上の供給数を記録した四半期もあることを考慮すると、空室率は善戦しているという印象を感じます。湾岸地域は、今後も大量供給が続く中で、その供給スピードに負けない需要が発生するのかが見どころかと思います。
続いて、空室率が改善されないと賃料が上がらない事が良く分かるグラフです。
各地域の3ベットルームの平米単価を示しています。私の実感覚としては、高級物件は概ね1,000ペソ/㎡取れているという印象です。
最後に価格水準のグラフを示したいと思います。
グラフは、各地域の平米単価を示しており例えばマカティであれば現在253,000ペソ/㎡となっています。
賃料の伸び悩みにも関わらず、価格は右肩上がりで上昇を続けていることが確認できます(利回りの低下)。
以上がマクロマーケットの市況となりますが、当レポートにおいては一部個別物件の販売状況についても記載があり興味深いものをお伝えしたいと思います。
まずは、BGCにて野村不動産とフェデラルランドで開発を進めている「The Seasons」(過去記事)ですが、2018年第4Qに販売開始し、現在までに304戸販売している中での完売率が45%、平均購入価格:23.2Mペソ(4,872万円)、平均購入平米単価:321,000ペソ(223万円/坪)と示されています。
単価もさることながら、平均面積が72㎡となり販売総額が膨らむことから売れ行きのスピードはゆっくりとならざるを得ないのかもしれませんが、やや苦戦していると言えるかもしれません。
続いてご紹介するのがQuezon市にて三井不動産とRockwellで開発を進めている「Arton Residences North Tower」は、2018年第1Qに販売開始し、現在までに324戸販売している中での完売率が90%、平均購入価格:7.5Mペソ(1,575万円)、平均購入平米単価:144,000ペソ(100万円/坪)と示されており、手頃な価格帯であることから好調な販売状況であることが伺い知れます。
場所はフィリピンで著名なアテネオ大学の至近に位置します。
最後にご紹介するのが、オカダマニラの東側でMegaworldが開発を進める「South Beach Place」で今年の第1Qに販売開始し、現在までに582戸販売している中での既に完売率が57%、平均購入価格:14.1Mペソ(2,961万円)、平均購入平米単価:368,000ペソ(255万円/坪)とその単価の高さにも拘わらず、好調な売れ行きとなっています。
BGCの野村不動産よりも単価が高くても受け入れられている事に驚くばかりです。当然、専らの購入者は中華系法人・個人であろうことは容易に想像できます。
これ程の供給数にも拘わらず、販売が順調に進んでおり、また実需の稼働率も高位安定しており、更には価格は上昇基調にあることを考慮すると、フィリピンの不動産市況は引き続き好調であると思います。
連絡先:080-6631-3939
Mail:nakata.re@philipinvest.com
代表取締役 仲田 一成 (なかた かずなり)