コリアーズ(Colliers)フィリピン住宅マーケットレポート_2Q2017

世界的な不動産会社であるコリアーズ(Colliers)から2107年第二四半期レポートが公表されましたので、内容を確認していきたいと思います。

実は前回の第一四半期レポートが出ていたことに気付かず、2017年の1月~3月分が飛んでしまいました。2016年第4四半期のレポート記事はこちらを参照ください。

 

さて、今回のレポートで特に気になる点はやはり大量供給による空室率の悪化だと思います。

マニラ主要地域における今回の四半期にて竣工を迎えた新築マンションは2,300戸、2017年合計では16,100戸の供給が予定されています。2016年度末時点における総在庫数に対して18%増加することになります。また2018年はそれを上回る21,300戸が供給予定です。New Condo Supplies_2

 

下のグラフの各地域別の供給数をグラフ化してみますと、ボニファシオグローバルシティの供給数がずば抜けて多いことがお分かりかと思います。現時点ではマカティとボニファシオでの在庫数の差は大きくない(2,200戸)ですが、2021年末には12,100戸と10,000戸の差に広がる予定です。

ご存知の通り、マカティでは開発余地はほとんど無いので新規のマンション供給が限られます。特に2018年以降は極端に供給数が減るので、空室率の改善が進むのではないかと考えられます。

一方ボニファシオグローバルシティはエリア北側において更地が残っていますが、既に開発計画は決まっていたり、プレビルド案件として販売が完了しているものが多数であるのではないかと思います。というのは、2018年までには現在の総在庫数の63%に当たる新規供給が予定されており、2020年は0との予測となっているからです。

実際、ボニファシオグローバルシティを中心的に開発してきたアヤラグループでも開発する土地が無いことから、郊外での開発(例:Arca South)を進めざるを得ないことが物語っています。

従って、ボニファシオグローバルシティにおいても2021年以降は、大幅な新規供給ができない事から空室率の改善に向かうのではないかと思います。その時に、ボニファシオグローバルシティが特に外資系企業のオフィス進出等により他の地域と差別化された魅力的な街となっていれば、賃料水準についても他の地域より高く取れる場所としてその地位を確保しているものと推測されます。

New Condo Supplies

さて、本年度の供給数:16,000戸、来年度21,000戸というのがどのくらいなのかということで、現在の東京都・首都圏で販売されている新築マンションの供給数と比較してみたいと思います。

皆さんも新聞・ニュース等で昨今のマンション価格高騰の煽りを受けて、ディベロッパーが供給数を減らしているというのを聞いているかと思いますが、2016年の東京23区の供給数は約15,000戸ですので、ほぼ同数の供給がされるとイメージすると解り易いでしょうか。

ちなみに過去7年で最多であったのは2013年の27,500戸です。

 

話をフィリピンに戻しますと、この供給数に対して新規に生み出される需要は7,500戸/年、2018年以降は8,000戸/年であるとレポートでは予測しています。

よって、2017年度に増加すると考えられる空室数は8,500戸、2018年は13,000戸ですので空室率の増加につながると予測しています。

以降、2019年は需要と供給がほぼ同値、2020年以降は需要超過となることからこの頃に空室率が10%程度に改善すると見ているようです。

次回では、この空室率の将来予測を基に賃料がどう変わっていくのかを見ていきたいと思います。

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