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コロナウィルスの影響_日本のホテル稼働率&客室単価_その2

   

その1(記事はこちら)で札幌・京都のホテルの稼働率・客室単価を書きました。本記事は、その続きとなりインバウンド需要のメッカとなっている大阪・韓国人旅行者の多い福岡並びに沖縄について見ていきたいと思います。

 

大阪ホテル

 

2019年/2020年 2月        稼働率     客室単価
ホリデイ・イン大阪難波    96.5%→46.7%  17,268円→11,608円
なんばオリエンタルホテル 97.8% →58.4%   20,437円 →14,178円
ホテルマイステイズ心斎橋 96%→63%     7,355円→7,320円

インバウンドで賑わっていたことを反映するように稼働率が大打撃を受けている事が分かります。また特に2万円近く取れていたホリディ・イン並びになんばオリエンタルホテルの客室単価が30%以上下がっています。
結果として、ホリディ・インのRevPAR(5,417円)は前年同月比で32%と悲鳴に近い水準となっています。

なお、ホテルの客室数・部屋タイプ・面積を知りたい場合、「じゃらん」の情報が充実しています。例えば、ホリディ・インのじゃらんを見てみますと、部屋数が314室でダブル:189室(20~39㎡)、ツイン:125室(20~40㎡)と知ることが出来ます。

この情報から、当ホテルは2人での利用が主流であろうと推測できますので、1人当たりの直近単価は約5,804円(11,608円/2人)と計算することが可能です。

 

続いて福岡です。

 

2019年/2020年 2月        稼働率      客室単価
ザ・ビー福岡                       94.5%→60.8%  9,533円→8,169円
ホテルマイステイズ福岡天神 91% →74%         7,219円 →7,183円
ヴィリエホテル天神             98%→93%    11,051円→7,492円

大阪と比べますと、元々客室単価が高くなく無い事から、価格下落率は抑えられている気がします。稼働率低下は、ザ・ビー福岡が特筆しているようです。

 

最後に沖縄です。

 

2019年/2020年 2月           稼働率      客室単価
ホテル日航アリビラ                       83.3%→72.9%  21,194円→20,178円
オキナワマリオットリゾート&スパ 82.1% →65%      16,837円 →15,616円
メルキュールホテル沖縄那覇         89.4%→60.6%    11,826円→   9,687円

日航アリビラとマリオットリゾート&スパは、リゾートホテルでありことからファミリー需要も高く3人以上での宿泊が見込めることから、客室単価はリゾート地における都市型ホテルであるメルキュールホテルより高くなる傾向が強いです。

インバウンドが去った後でも日本人にも人気のある日航アリビラが高い稼働率・客室単価を確保できたのではと推測します。国内の需要も一気に冷え込んだ3月が気になりますが、公表は4月25日の予定です。

 

最後に上記稼働率・客室単価が大きく下落すると、どの程度ホテルの不動産価格に影響を与えるのか考えたいと思います。

例としてホリディ・イン大阪難波の2019年度の当ホテル実績値(稼働率:91.2%、客室単価:16,597円)と2月実績稼働率:46.7%&客室単価:11,608円 で説明します。

314室あるこのホテルは、

314室×91.2%×@16,597×365室≒1,735百万円/年の宿泊部門売上があり、その他部門売上(テナント賃料収入他)49百万を加え、総売上高は1,784百万円でありました。

またホテル運営に関わる費用(人件費・客室清掃費用・食材費・備品購入費等)を控除したGOP(Gross Operating Profit)は1,074百万円(売上比60.2%)と資産運用報告書に記載されています。

では、直近の稼働率・客室単価を前提とすると、客室売上は314室×46.7%×@11,608×365室≒621百万円/年と昨年実績の36%!まで落ち込み、その他部門売上を同じ49百万を加えたとしても総売上高は670百万円となり、ホテル運営費:710百万円をそのまま引いてしまうとGOPが赤字になる事を意味します。ホテルの場合、稼働率が下がり必要な客室清掃数が減るといえど、固定的な費用が大きいことからみても、この水準の稼働率・客室単価だと、GOPが赤字すれすれの水準でしょう。

(なお、本物件はホテル運営会社から固定+歩合賃料を受領する運営形態をとっていますので、市況変化のリスクヘッジが取られています。逆にホテルオペレターはREITにGOPが赤字でも、固定賃料:48百万円/月、576百万円/年払わなければなりませんので、ホテルの苦境が分かります。)

*中小のホテル運営会社で、高い固定賃料を前提に不動産会社・ファンド等よりホテル運営を受託している会社は、この低稼働状況が長く続けば賃料減額請求(→不動産価格の下落へつながる)あるいは破産する可能性があるのではと心配しています。

 

従ってホリディ・イン大阪難波は変動賃料部分が発生せず、固定賃料:575百万円/年から不動産に関わる費用:50Mと大規模修繕費と家具備品等の改修費用合計:49M(鑑定評価レポートに基づく)を控除した476M/年がNet Cash Flowとなります。

鑑定評価で採用されている還元利回り:4.5%を採用した不動産価格は約106億円となり、取得価格の270億円の40%と試算されます。

 

もちろん、この2月が新型コロナウィルスの影響により異常な数値であり、早期に2019年の水準に戻るのであれば不動産価格も落ち着きを取り戻すでしょうが、3月の稼働率・客室単価は国内宿泊者の減少が加わることから更に悪化することが確実視されており、4月もどうなるか予断を許さない状況です。

今後も国内ホテルの稼働率・客室単価について、随時報告していきたいと思います。

 

仲田リアルエステート株式会社
Mail:nakata.re@philipinvest.com
代表取締役  仲田 一成 (なかた かずなり)

 - 日本経済